「個人再生と住宅」に関するお役立ち情報
住宅ローンの巻き戻しとは
1 住宅ローンの巻き戻しの概要
住宅ローンの巻き戻しとは、住宅ローンを滞納してしまい、住宅ローン会社(銀行など)の保証会社による代位弁済がなされ一括返済を求められてしまった後、個人再生手続きを申立てた際に代位弁済をなかったことにするとともに、元の住宅ローン会社へ住宅ローンを支払うことができる状態に戻す手続きを指します。
個人再生手続きには、住宅ローンが残っているご自宅を残すことができる制度が用意されていますが、住宅ローンの巻き戻しもその制度のひとつです。
ただし、住宅ローンの巻き戻しは、法律上も事実上も、かなり厳格な条件を満たさないと利用できないことに注意が必要です。
以下、住宅ローンの巻き戻しができる条件について詳しく説明します。
2 住宅ローンの巻き戻しができる条件
⑴ 住宅ローンの代位弁済から6か月以内に個人再生を申立てる
まず、住宅ローンの代位弁済が行われてから6か月以内に個人再生の申立てをする必要があります。
この条件を満たして個人再生の申立てをした場合、代位弁済がなかったことになり、住宅資金特別条項を定めることができる可能性があります。
気を付けるべきことは、代位弁済をした旨の通知がなされた日からではなく、あくまでも代位弁済が行われた日から6か月以内に個人再生の申立てが必要である点です。
通知書面等をしっかり確認し、いつまでに個人再生の申立てが必要であるかを認識しておく必要があります。
個人再生の申立てには、多数の書類の作成や資料の収集が必要となります。
そのため、代位弁済がなされた日から6か月以内に個人再生の申立てをするためには、かなり急いで申立ての準備を進める必要があります。
⑵ 住宅資金特別条項が利用できる状態であること
個人再生は、基本的には債務の総額を大幅に減額し、減額後の債務を3~5年に分割して返済するという手続きです。
そして、住宅ローンが残っているご自宅がある場合には、住宅ローンだけは従前通り支払い続けることで、ご自宅を失わずに済むという住宅資金特別条項という制度が用意されています。
住宅ローンの巻き戻しは、代位弁済をなかったことにして住宅資金特別条項を利用するというものですので、住宅ローンの巻き戻しをするためには住宅資金特別条項を利用できる条件を満たす必要があります。
住宅資金特別条項を利用するための条件には、ご自宅を債務者の方が所有していることや、ご自宅に住宅ローン以外の抵当権が設定されていないことがありますが、そもそも再生計画認可後に住宅ローンを支払い続けられる資力がなければいけません。
住宅ローンを滞納してしまったことによって代位弁済がなされている状況にある場合、収支を大幅に見直さないと住宅資金特別条項を利用することができない可能性があります。
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